α-リポ酸
α-リポ酸とは
α-リポ酸はチオクト酸とも呼ばれる脂肪酸で、エネルギー(ATP)を生み出す細胞小器官であるミトコンドリア内で、糖質からエネルギーを産生するための補酵素として働きます。
多くの食品に含まれていますが、α-リポ酸の効果を期待できるほどの量は含まれていません。サプリメントで摂るのが現実的です。
α-リポ酸の効果
前述のようにα-リポ酸はエネルギー(ATP)を生み出すのに重要な役割があります。逆に言うとα-リポ酸が不足している状態ではエネルギーが上手く作られません。30代から体内でのα-リポ酸の合成量は低下すると言われているので、30代以降の方はα-リポ酸の効果を体感できる可能性があります。
α-リポ酸には抗酸化作用もあります。抗酸化作用を持つ多くの物質は水溶性か脂溶性どちらかの性質がありますが、α-リポ酸は水溶性と脂溶性の両方の性質を持ちます。
また、自らが抗酸化物質として作用するだけではなく、抗酸化作用の後に抗酸化力をなくしたビタミンCやビタミンEなど、他の抗酸化物質を再生して再び抗酸化力を持たせる働きがあります。
さらに、アスリートに嬉しい作用として、インスリン感受性を高めるという働きがあります。糖分やアミノ酸を細胞に送り届けるホルモンであるインスリンの働きを高めることは、体づくりを行う上で非常に重要なことです。
ちなみにクレアチンもインスリンによって筋肉に運ばれますが、クレアチンはもともと吸収率があまり高くないようです。これまでクレアチンの効果を体感できなかった方は、α-リポ酸を同時に摂取すると違いが分かるかもしれません。
そして、体に有害な重金属(水銀やカドミウムなど)を体外へ排出する働きがあります。
α-リポ酸の飲み方
1日に200〜300mg程度を目安に摂取します。一度にまとめて摂るより複数回に分けて摂取するようにしましょう。
トレーニング後にクレアチンを摂る場合は、吸収率を高めるためにα-リポ酸を同時に飲みます。それ以外の摂取タイミングは、空腹時の方が満腹時に比べて吸収率が2〜2.5倍ほど高いというデータもありますが、胸焼けなどを起こす場合があるので、その時は食後に摂るようにしてください。
R体とS体について
α-リポ酸にはR体とS体の2種類があります。体内で合成されるのはR体です。現在使用されている多くのα-リポ酸はR体とS体が1:1の割合で含まれているラセミ体です。R体の方が効果が高いと言われていますが、製造コストも高くなります。
一般的にS体については毒性はないと言われていますが、S体は危険であるとする声が全く無いわけではないようです。
α-リポ酸の副作用
α-リポ酸は糖尿病の治療薬として使われていたり、膵臓癌や悪性リンパ腫、C型肝炎、肝硬変などの点滴治療法に使用されています。
点滴治療法では稀にα-リポ酸により低血糖を発症する、インスリン自己免疫症候群(IAS)が報告されているようです。サプリメントによる経口投与でも過剰に摂取すると冷や汗や震え、動悸、目眩などの症状が現れる可能性があります。
α-リポ酸はアスリートのパフォーマンス向上や、運動していない方でも健康のために有用な働きをしてくれます。摂取量を守って有効に活用してください。